先日、LPIC Level 2 の認定を取得しました。良い機会なので改めてこの資格を取得する意味について考えてみました。
なお、この記事においてLPICというのは、LPIC Level 2 までを対象として記述しています。
Level 3 については触れていません。
LPICについては、こちら。
結論
LPICを取得する意味は、人や環境によって全く異なるため、一言で定義出来るものではありませんでした。
理由
以下に、結論に至ったファクターを記述します。
出来るようになると思うこと
LPICを取得したら出来るようになると思われることを挙げます。
- 少なくともその資格を取得する程度の努力や自己投資をする人間であることを表現することが出来る。
- 少なくともその資格を取得する程度の知識を有している(有していた)ことを表現することが出来る。
- LinuxというOSについてごく浅く広くではあるが、比較的体系立った知識を取得することが出来る。
- Linuxとそれに関連するミドルウェアの一部については、関連する問題解決に至る速度が多少上がる可能性がある。
- 社内システムで大抵の場合に必要となりそうな各種サーバの設定項目について、なんとなく予め知れる。
出来るようにならないと思うこと
LPICを取得しても即座に出来るようにはならないと思われることを挙げます。
- LinuxベースのWeb系企業で公開サーバのインフラ担当として即戦力な存在になる。(それまでにその実績がない場合。)
- LinuxのAPIを理解し、カーネルをカスタマイズして問題解決するといったようなこと。(それまでにその実績がない場合。)
需要と供給
上記の出来るようになると思うことを求める立場/環境があれば、需要と供給が成立しますので、そこに資格の意味が生まれると思います。
例えば、大手SIerが人材をかき集める場合、人材を保有している複数の会社に見積もりを出すのが普通と思います。
このような場合に、見積もりを出す側の会社の一方が、人材の保有資格も併せて提示してきた場合、採用するかどうかの判断材料になる可能性があります。
提示しない、または資格を保有している人材がいないため提示できない会社よりも、有利な判断を得られる可能性があります。
個人の採用活動の場合にも、実績・人間性などではほぼ差別化出来ない局面において、資格の有無が何らかの判断材料となる可能性はゼロではありません。
そのような場合には、資格を取得している意味がないとは言えないケースになると思います。
反対に、出来るようにならないと思うことを要求する立場/環境においては、当然ですが資格の有無はまったく意味を成しません。
したがって、相対する立場/環境によって、資格の意味の有無が決まってくると言えます。
自分の場合の取得動機
LPIC Level 1 の取得動機について。
それまでWindowsサーバベースの開発会社に属していたため、Linuxについてはほぼ何も知らない状態でした。
(リーナス・トーバルズという人だけなんとなく知っているような状態。)
転職先がLinuxベースであったことと、何も知らないとは言え、なんとなく興味はずっと持っていたため、Linuxについて知ろうと考えました。
ところが、何も知らない人間が、LinuxというOSについての大枠を理解しようとしても、そもそも大枠がどこまでなのかも分からないのでした。
そこで、LPICという資格が存在することを知り、その認定内容をざっと確認したところ、当時の自分としては、とても体系的な内容に映りました。
体系的な知識が取得出来そうな点と、ついでに国際的な認定が得られるのであれば、受験してみようと思ったのが動機でした。
LPIC Level 2 の取得動機について。
LPICの有意性というのは、認定後5年間です。例えば、Level 1の認定を取得してから何もせずに5年以上経過した場合、認定の有意性というのがinactive
に変わります。
資格の認定事実は残すけど、実質的な意味はなくなってるよというステータスになります。
こうなる前に、再度Level 1を受験して認定を受けるか、上位レベルを受験して認定を受けるかすれば、有意性はactive
のまま保持されるという仕組みになっています。
私の場合、この8月にLevel 1の有意性がなくなる局面でした。
有意性がなくなるということに漠然と抵抗を感じたのと、Level 1に留まる気はなかったことと、Level 2の内容が割りと業務に直結する範囲ではあったことが取得動機でした。
自分の場合の取得意義
今回の資格取得の意義について、個人的には以下のように考えています。
- Linuxと親しくなれるというか、身近に感じられるようになるというか、それまでより単純に好きになれるのでは。
- Linuxに関して比較的体系立った大枠が視えるようになるため、現場での応用時に助走を小さく出来るのでは。
- Linuxについての大枠の知識を定期的に確認出来る機会なので何もしないよりは、それはそれで良いのでは。
- Levelが上がれば難易度も上がる(少なくとも私はそう感じました)ため、向上心を満たす要因になりますし、資格ではない部分の向上心にも繋げられるのでは。
- etc…
その一方で、
- そもそも少しでも意義があるかどうかは各々判断が必要と思われる。
- 考えられる意義が、受験料や学習時間などのコストに見合っているかどうかは各々判断が必要と思われる。(受験料は自己投資額としては法外に高額などとは思いませんが、自分の場合、負担と感じない額ではありません。)
- 割りと集中した学習が必要なため、その間は他の知識のキャッチアップなどを場合によっては止める必要も出てくる。
- etc…
といった点については、少なくとも自分の中でははっきりさせておき、それを踏まえて取得するかどうかを決めるべきと思いました。